損害賠償請求をされた!どう対応すればよいか?!

日常生活や仕事上の取引をした場合などで相手方に損害を与えたとして、損害賠償請求をされるケースがあります。損害賠償請求をされた場合、必ずしも相手方の請求通りに支払わなければいけないということではありません。請求内容に納得がいかないことも多々あるでしょうし、請求金額に納得がいかないこともあるでしょう。今回は、損害賠償請求をされた場合にどのように対応すれば良いのかについて詳しく解説していきます。⇒仮差押えを突然されてお困りの方はこちら!

損害賠償とは?

損害賠償とは、債務不履行や不法行為によって損害を受けた人がその原因を作った人に対して損害についての補償を求めることをいいます。

民法では,損害の原因を作った人に対して債務不履行責任と不法行為責任の2種類の損害賠償責任を認めているのです。

債務不履行責任による損害賠償

ここでいう債務不履行とは、期日までに約束していた支払いを行わないなど、債務者が債権者に対して契約などの義務を負っている場合に契約通りの義務を履行しないことをいいます。

また、そのために債権者が損害を被った時には、債務者は債権者に対して損害を賠償する義務を負うのです。

但し、この債務の不履行が故意や過失でない場合には、債務不履行に基づいた損害賠償責任は発生することはありません。

債務不履行の種類

債務不履行には、履行遅滞、履行不能、不完全履行の3種類があります。

どの種類も相手が約束通りの債務の履行をしなかった場合に発生するもののため、損害賠償請求は可能です。

  • 履行遅滞

履行遅滞とは、決まった返済日を過ぎても返済できないなど債務の履行が遅れることをいいます。

  • 履行不能

履行不能とは、売買する予定の品物を壊してしまって売買できなくなってしまったなどの債務の履行が不可能になることをいいいます。

  • 不完全履行

不完全履行とは、売買した品物を取り違えて渡してしまったなどの債務の履行は行うけど内容が不完全なケースをいいます。

債務不履行による損害賠償を請求されるのはどのような場合か。

具体的に以下のような場合に、債務不履行のための損害賠償が請求されます。

  • 支払いが遅れた場合

いつまでに支払いをするという契約をした場合、支払期日までに支払わなければ遅延損害金が発生します。

遅延損害金は、金銭債務が履行遅滞になった時の損害賠償金です。

  • 二重譲渡が行われた場合

二つの先に一つの商品を同時に売却した場合は、一方には商品を渡すことはできません。

そのため、契約通りの義務の履行ができなくなり、履行不能のため損害賠償請求をされてしまう可能性があります。

  • 不動産の引き渡しができない場合

不動産の売買契約をしたのに債権者に不動産の引き渡しができない場合は、履行不能となり損害賠償請求をされてしまう可能性があります。

  • 売却した商品の引き渡しが遅れた場合

商品を売却する契約をした時に期日までに商品の引き渡しができなかった場合、履行遅滞となり損害賠償請求をされてしまう可能性があります。

また、商品の中に欠陥品が含まれていた場合も、不完全履行として損害賠償請求をされる可能性があるのです。

  • 物流で商品を物損してしまった場合

商品の物流を依頼されていた業者が、流通途中に一部の商品を壊してしまった場合は、不完全履行となり損害賠償請求をされてしまう可能性があります。

また、約束の日に届けなかった場合は、履行遅滞として損害賠償請求をされる可能性があるのです。

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不法行為責任による損害賠償

ここでいう不法行為とは、契約関係の無い状態である人が他人の権利ないし法律上保護される利益を違法に侵害する行為のことをいいます。

そして、故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を違法に侵害した人は、生じた損害を賠償する責任を負う必要があるとされています。

但し、法律上に違法な行為があったとしても、故意や過失がない場合には不法行為は成立しません。そのため、損害賠償責任も発生することはないのです。

不法行為による損害賠償を請求されるのはどのような場合か。

具体的に以下のような場合に、不法行為のための損害賠償が請求されます。

  • 誹謗中傷を行った場合

ネット上でライバル会社などの他の会社の社会的評価を低下させるような誹謗中傷を行った場合は、名誉毀損は違法行為のため不法行為による損害賠償請求をされる可能性があります。

  • ハラスメント

モラハラなどのハラスメントで大きな苦痛を与えた場合は、故意による違法行為として損害賠償請求をされる可能性があります。

基本的には慰謝料が損害賠償額となりますが、病院への通院が必要であれば治療費や交通費なども損害賠償額に含まれます。

損害賠償請求をされた場合の対応

実際に損害賠償されたら驚いてどうすれば良いのかわからなくなるかもしれませんが、落ち着いて冷静になることが大切です。

すべてが損害賠償通りに支払いしなければならないわけではありませんし、相手方が、悪意があって不当な金額を請求しているかもしれません。

ここでは、損害賠償請求をされた場合にどのような対応をすれば良いのかについて解説していきます。

賠償義務があるかどうか。

まず、損害賠償請求をされた事由が、本当に賠償義務があるかどうかを確認します。

本当は債務不履行や不法行為だといえないのに、相手方が勘違いをしている可能性もあります。

債務不履行による損害賠償請求の場合

債務不履行による損害賠償請求に賠償義務があるかどうかは、以下のことを確認します。

  • 債務不履行が成立しているのか

損害賠償請求をされた事由が、本当に履行遅滞や履行不能や不完全履行で債務不履行が成立しているのかを確認します。債務不履行が成立していない場合は、損害賠償請求はできません。

  • 債務者に故意過失があったか

債務不履行による損害賠償請求が成立するためには、債務者に故意過失がなければいけません。

但し、債権者側は債務者の故意や過失を立証する必要なく損害賠償請求をすることができるため、故意過失が無かったことは債務者側が立証する必要があります。

  • 損害が発生していること

債務不履行が発生していても債権者に損害がなければ、損害賠償請求をすることはできません。

そのため、本当に損害が発生しているのかを確認することが必要です。

  • 損害発生と債務不履行との間に因果関係があること

債務不履行によって損害が発生したという因果関係がなければ、損害賠償請求をすることはできません。

この時の因果関係が債務不履行と損害が何らかの関係があるという程度では損害賠償請求をすることはできず、債務不履行と損害が相当因果関係である必要があります。

不法行為による損害賠償請求の場合

不法行為による損害賠償請求に賠償義務があるかどうかは、以下のことを確認します。

  • 故意または過失があったか

この場合の故意とは、損害の発生を認識することが可能であるのにあえて意識的に侵害行為に及ぶ状態をいいます。

また、過失とは、損害の発生を予想して回避することができるのに、不注意などによりそのまま権利侵害に及んでしまうということをいいます。

故意または過失がなければ、不法行為による損害賠償請求をすることはできません。

  • 侵害行為の違法性があったか

侵害行為に法律上の違法性がなければ、不法行為による損害賠償請求をすることはできません。

  • 侵害行為の存在の有無

一定の行為を行うことが期待される作為義務がある場合は、そのような行為をしない不作為も侵害行為となります。

  • 損害が発生していること

不法行為があっても損害がなければ、不法行為による損害賠償請求をすることはできません。

  • 侵害行為と損害との因果関係

違法な侵害行為があったから損害が発生したという因果関係がなければ、不法行為による損害賠償請求をすることはできません。

  • 違法性阻却事由がないこと

違法性阻却事由とは、不法行為を行った人に損害賠償責任を負わせるのは相応しくない特別の事項のことをいいます。

  • 賠償金額は妥当かどうか

損害賠償義務があるのを確認したら、次に賠償金額が妥当かどうかを確認します。

実際に損害賠償請求をする側は、だいたい本来の請求額よりも高めの金額を請求してくるからです。

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まとめ

このように損害賠償請求をされた場合は、賠償義務があるかどうかや請求金額がどうかを確認することが大切です。

しかし、専門家でない人が確認をしようとしてもなかなか正確なことはわからないのが現実です。

そのため、損害賠償請求をされた場合は、対応をプロである弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に依頼することで、賠償義務がなく支払義務がないと判断した時には相手方にきっぱりと賠償金の支払いを断ることができます。

また、賠償義務があったとしても適正な金額を算定できることにより相場以上に減額できる可能性もあります。

一括での支払いが困難な場合は、分割払いでの交渉もしてくれます。

さらに、プロである弁護士であれば法的な観点から有効な合意書が作成できるため、後々に余計なトラブルが発生することも防止できるのです。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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