仮差押えにより事実上支払いを強制することができます
仮差押えを効果的に行うためには
債権者が債務者に対して支払いを請求しても、債務者が任意に支払わないことがあります。
相手方が支払いをしてくれない場合には、裁判を起こす他方法はありませんが、裁判を提起すると、裁判の過程や判決後に相手方が、任意に支払いをしてくることもあります。
反対に、裁判が終了し、判決が出たとしても、相手方が支払わないということもあります。
この場合は、相手方の財産に対して強制執行をすることになりますが、相手方に財産がなければ、勝訴判決を得ても、結局、債権回収ができないこととなります。
そのために、裁判の前に「仮に」相手方の財産を押さえるという手続きが、民事保全法により定められた仮差押えを含む保全手続きとなります。
仮差押えをするにあたっては、相手方の財産のうち何を仮差押えするのかについても、裁判所に示さなければなりませんので、債務者の財産を把握することが仮差押えを成功させるためのポイントとなってきます。
仮差押えのためには相手方の財産調査が重要
例えば相手方の預金を突き止めても、預金が引き出されていれば、仮差押えは空振りに終わることもあり、費用対効果の観点から仮差押えをすべきか判断が難しい事例も多くありますので、財産を調査しても回収ができないという可能性もないではありません。
しかしながら、まずは相手方の資産状況を調査することは、回収という観点から重要なことですので、財産調査を行うことは大切なことなのです。
どのような財産調査をすべきか、何を仮差押えすべきか
財産調査に当たってはできる限り債務者の情報を得ておくことが重要です。
相手が自然人であれば、氏名、住所、職業、勤務先、交友関係等を、法人であれば企業の事業内容、取引先等を把握するところから始める必要があります。
自然人であれ法人であれ、過去の一時点の住所や所在地が分かれば、住民票や登記簿をたどることで、現在の住所や所在地を突き止めることができます。行方不明になっている債務者もこの方法で発見されることが多いです。
各財産の調査についてですが、まず不動産であれば登記簿をとる必要があります。登記簿により権利関係や不動産に対して権利を有する他の債権者の有無がわかります。不動産については、住民票や登記簿を遡り、前住所・所在地にその債務者の不動産が存在しないかを調べる場合もあります。
動産については、債務者から聴取をしなければ把握することが困難となりますが、例えば自動車は登録を要するものですので、弁護士会を通して照会を行う等の手続き(弁護士会照会手続き)を利用し、調査をすることもできます。また、債務者の過去の決算書や税務申告書があれば、発見可能性が高くなります。
預貯金については、銀行の支店で特定する必要があるため、取引における振込先口座は支払元口座として把握できればその口座はもちろん、相手方の住所地や勤務先等関係先の所在する近隣の預金口座を調査することが必要となります。実際は調査できないため、可能性のありそうな銀行の支店すべてに仮差押えをかけることとなります。
相手方が自然人で勤務先がわかっている場合には、一部となりますが給与の仮差押をすることも可能です。
相手方が法人で取引先が分かっている場合には、売掛金を仮差押えするということも考えられますが、場合によっては相手方が信用不安に陥り、が破産等に追い込まれ、結局回収ができなくなってしまうという可能性もありますので、慎重に対処をする必要があります。
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