債権回収の内容証明郵便が届いた場合
内容証明というのは、届いた手紙に何が書かれているのかを証明するものであり、内容証明自体に法的な強制力があるわけではありません。
そのため、必ず回答しなければならないものではなく、回答をしなかったことを理由として罰金等の刑罰や損害賠償などの義務を負うというものではありません。内容証明郵便には支払期限や回答期限も書かれていると思いますが、これも相手方が勝手に設定した期限ですので、守る必要はありません。
もっとも、後で述べるとおり回答をしないことで効力が発生するケースもありますので、内容により注意が必要となります。
他方で、内容証明を送った相手方は、回答が来ないことで、より強硬な手段、例えば訴訟の提起や警察への告訴などを行うことが考えられます。
そこで、相手方の性格等をよく考えて、何もせずに放置をするのか、適切な対応をするのかについては慎重に対応をする必要があります。
内容証明に書かれていることは必ずしも真実ではありません
内容証明を受け取ったら、まず内容を検討し、記載されていることが事実であるのか、例えば本当に約束違反をしているのか、反論すべきところはないか、について確認をしてください。
内容証明に書かれていることは、相手方の一方的な主張であり、非常に片面的なものの見方に基づく主張であることも多く、また反論の余地があることも多く、ご自身の視点から見た場合、何か反論をすることができるかどうか、しっかり見極めることが重要です。
また、請求金額が一応根拠がある場合であっても、なにか釈然としない場合は、何らかの減額できる要素があるという場合が多いです。すなわち、その釈然としない事由が、明確に法的根拠に構成し直せていないだけであり、弁護士に相談すれば、具体的にどのような法的根拠で減額や抗弁が可能かが判明することが多くなっています。すなわち、減額できる場合は非常に多く存在します。当事務所の経験則上では、このような場合は、ほぼすべての場合において、何らかの減額又は抗弁が可能な事由が発見されています。
ただし、対応は慎重に!!
相手方の言い分が正しいのであれば、適切な対応を採ることが望ましいでしょう。
もっとも、相手方の言い分が正しくても、例えば何年も放置をしていたのに急に請求してきた場合などは時効にかかっている可能性もあります。時効にかかっていても、分割で支払う等と回答をしてしまうと、債務を承認したことになってしまい、後から時効の主張をすることはできなくなってしまいますので、内容証明を受け取った場合には弁護士に相談し、適切なアドバイスを求めることが望ましいでしょう。
他方で、回答をしない場合に、一定の効果が生じる規定に関連した請求もあります。
制限能力者が能力回復後に相手から請求を受けたとき、無権代理人の相手から請求を受けたとき、抵当権実行の通知を受けたとき、解除するかどうかの通知をうけたとき等については、回答をしないことで一定期間の経過をもって効力が生じることがありますので、できうる限り通知を受けた場合には、通知書と関係書類を持って、弁護士に相談されることをお勧めいたします。
いずれにしろ、債権回収の内容証明郵便が届いてしまった債務者様について、どのような対応をすべきかや各種対応手続きの遂行に関するメリット及びデメリットを考慮の上、ご検討いただくことが重要かと思われます。