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経済のグローバル化により海外の現地法人と取引を行うことが一般的になっています。
弁済期限までに約束の代金を支払ってくれないことがあるのは、国内・海外を問わず共通した問題です。
しかし、海外の企業の場合、言語や文化・慣習、法律の違い、政治的な問題など、国内企業とは異なる多くの問題が存在しています。
例えば、海外企業の場合、支払いを遅らせることが担当者の才能として評価されることがあります。
理由としては、わずかな遅れであれば遅延利息の請求を受けないこと、資金効率を良くすることが日本以上に重視されていること、特に政策金利の高い新興国では、支払いを遅らせた分だけ高い利息を得られることが大きいとされています。
その為、常習的に引き延ばそうとする人たちが多くいるのです。
但し、この場合であっても悪評が経てば企業の格付けに影響しますから、結果として取引先を失う事になります。
その為、このような行為は、訴訟などの大きな問題にならない範囲で行われ、弁護士から請求されれば直ちに支払われることも少なくありません。
重要なのは、債権回収に熱心な、債務者から見て厄介な債権者であると認識させることにあります。
たとえ資金繰りに苦しんでいる企業であっても、このような厄介な債権者から優先して支払いに応じるからです。
履行を求めていくやり方は、日本国内のものと基本的に変わりません。
通常は、電話、Eメール、FAX、郵便により求めていくことになります。
違いとして、内容証明郵便が使えないことがあげられます(台湾など一部の国では制度がありますが、現地の郵便局を使わなければなりません。)。
海外で同様の制度がない理由としては、支払う意思がないことが明確なのであれば、支払督促や訴訟等の裁判所の手続きを利用する方が確実だからと考えられます。裁判所が、内容を確認した上で書類を届けてくれますし、心理的な圧力も強いからです。
ただし、後述する中国のように催告によって消滅時効をストップさせることを認めている国で、時効を阻止しつつ訴訟をなるべく避けるには催告したことを証明することが重要となります。
このための方法として公正証書を使う方法も考えられますが、簡便な方法として、書留郵便(受取通知付き)で催告するとともに、それを撮影した画像を電子メールで送る方法が考えられます(電子メールの送信について第三者が証明するサービスがあります。)。
どのような内容の電子メールが送信されたか記録されますから、文書の画像とそれが封筒の中に入っている画像、封をした画像などにより、その日時に相手方向けの催告書が存在したこと、その書面が封筒に入っていること、電子メールが送られたことの証拠となります。
メールが届いていないといった言い訳がなされても、郵便の方で、相手方に何らかの文書が到達したという記録が残ります。
文書の内容に発送日を明記しておき、電子メールと同時に送る旨を記載しておけば、同一内容の文書が到達したことを推認させることができます。
これらにより、「何も届いていない」、「違う文書が入っていた」、「何も文書が入っていなかった」などの言いわけが難しくなります。
内容証明と同程度とはいきませんし、各国のインフラ状況にもよりますが、このように証明力を高めていく工夫が重要といえます。
海外の法人だからといって必ずしも相手国で手続きを行う必要はありません。
契約の内容にもよりますが国内で訴訟を行うこともできます。
どの国で手続きをとることができるかという問題が、「国際裁判管轄」の問題です。
普通、契約書の中で、もめごとが起きた場合には「○○国の☓☓裁判所」で解決する旨の意思表示をしておきます。
日本の裁判所が指定されている場合には、国内で手続きを行うことが可能となります。
仮に、このような規定がなかったとしても財産が国内にあるなどの条件を満たせば国内で手続きをとることができます。
例えば、相手方が国内の会社に売掛金債権や知的財産権を有していれば、管轄が生じうることになります。
ですが、国内で手続きをとることができるかという問題と、国内で行うべきかという問題は分けて考えなくてはなりません。
国内で訴訟を行う目的としては、次の3つが考えられます。
国内に十分な財産があれば、目的を達することができますから、国内で手続きを行うことに問題はありません。また、今現在は財産がなくても将来的には財産が得られる可能性があるのであれば、時効をストップさせることにも意味があるといえます。
ですが、国内にめぼしい財産がなく、時効も差し迫っていない状況であれば、国内で手続きをとることは控えたほうがいいかもしれません。
つまり、国外にある財産の差押えだけを目的として訴訟を起こすことは慎重に考える必要があります。
理由としては、第一に、日本の判決を使って強制執行できるとは限らないことが挙げられます。
この場合、そもそも一般的に認めていない国(中国など)もありますし、そうでない場合でも個別に否定されるおそれがあります。
また、外国の判決が自国で債務名義となりうるかは、その国の司法手続きの中で判断されることとなり、相応の時間と費用がかかります。 したがって、他国での執行のみを目的としている場合には、直接、相手国で手続をとることを検討することになります。
こんにちは、弁護士の 土 屋 勝 裕 です。
私は、もともと、当時、日本最大の法律事務所で難易度の高い企業法務を取り扱っていました。
当時は、ライブドアによるニッポン放送争奪戦や、村上ファンドによる敵対的買収、上場会社の株式公開買付(TOB)と株式取得価格決定裁判、青色発光ダイオード(青色LED)裁判など、いろいろありました。
その過程で、裁判所の株式価値評価方法に疑問をもち、ペンシルバニア大学ウォートン校(M.B.A.)にも留学し、ファイナンス理論・企業価値評価・交渉理論を修得してきました。
ただ、海外債権であるというだけで、日本の一般的な弁護士が対応してくれないことは非常に問題だと思っていました。
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経済活動の国際化は、国内債務者を対象とする海外法人による回収手続きの増加も招いています。
一口に海外法人といっても、純粋な外国籍企業だけではなく、日本企業が設立した現地法人であったり、現地企業との合弁会社であったりとその形態はさまざまです。
取引の形態もいろいろあります。
国内の企業と取引を行うケースだけではなく、海外にある法人同士で取引を行った後、一方の法人が日本国内に財産を引き上げてしまうようなケースです。
日本企業が海外に別法人を設立した場合、法人格が別ですから、売掛金債権を現地法人がもっているときは、債権譲渡等を行わない限り、回収手続きは現地法人によって行われるのが原則である点にも注意が必要です。
完全親子関係にあるような場合には、国内の親会社が回収手続きをとることを適法とする見解もありますが、通常の親子会社の場合には弁護士法に違反する疑いがありますので、現地法人から日本の弁護士に依頼されるのが無難です。
電話やFAX、Eメール、通常郵便といった一般的な方法であっても、弁護士が行うことで支払いに応じてもらえることも多いです。
また、国内であれば内容証明郵便が使えますから、これにより解決することも期待できます。
相手方が支払いに応じる意思を示してきた場合に、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成することも検討できます。
訴訟となった場合でも和解によって手続きが終了することもあり、必ずしも時間がかかるとは限りません。
迅速に処理するためには弁護士に相談されることをおすすめします。
管轄の問題とは別の問題として、契約がいずれの国の法律に基づいて行われたかを問題とするものに「準拠法」というものがあります。 これも契約条項に定めることが通常です。 仮に定めがなかったときには、当該契約に、より関係の深い国の法律が適用されることとなります。 各国の取引に関係する法律は各種の国際条約があることもありますが、類似した法律がめずらしくありません。
しかし、細かく見ていくと、各種の要件や効果に違いがあることは否めず、準拠法の違いによって権利の実現が難しくなることがあるので注意が必要です。
例えば、中国の消滅時効は日本の原則的な規定よりも短く規定されています。
そのかわり、日本では一時的な効果しかない催告が、時効期間をリセットする効果を与えられています。
また、人的担保である保証人制度にも違いがあります。
債務者に対する請求は付従性により保証人にも効果が及びます。
これに対し、保証人に対する請求は、日本では連帯保証の場合を除いて主たる債務の時効に影響を与えませんが、中国では影響を与えます。
日本に管轄権がある場合であっても、適用される法律が中国のものということもあり、この点にも注意が必要です。
法人の住所等が日本国内にあるときは、原則として国内に管轄権が生じます。法人の住所等が日本国内にあるときは、原則として国内に管轄権が生じます。
しかし、同時に外国に管轄権が生じることもあり、どちらで手続きをとるべきか選択しなければなりません。
もしも、財産が日本国外にしかないというのであれば、その国で手続きをとるのが現実的かもしれません。
これに対し日本国内にしか財産がないのであれば、日本国内で手続きをとったほうが現実的です。
その理由は、外国での判決が日本でそのまま債務名義となるわけではないからです。
必要な効力が認められるためには、その海外の裁判所に裁判権がなければなりません。
また、内容や手続きが公序良俗に適合していることも必要であり、相手方に手続きを行う実質的な機会が与えられていたことも必要です。
そして、国内の判決が海外で同様に執行できるという保証も必要とされています。
これらの要件を満たして、はじめて外国判決をもとにした手続きが可能となります。
これらの要件を満たすことは容易ではありません。
例えば、米国には懲罰的賠償という仕組みがあります。
これは悪いことをした企業に、生じさせた損害を超える賠償金の支払いを命じることで、同じことをさせないようにするためのものです。
賠償金額の算定についても陪審が判断できることから希薄な根拠により非常に高額な賠償金が命じられることもあり、特に外国企業に対して厳しい判断が出されやすいとの指摘があります。
最高裁で争われた事案として、ある州の裁判所が認めた日本法人に対する懲罰的な損害賠償請求について、日本の不法行為制度が被害者の被った損害を回復するための制度であるのに対し、当該懲罰的賠償制度は刑事罰に近いものであって、わが国の法制度の根幹的な部分と矛盾し、公序の要件を満たさないとして強制執行を認めませんでした。
おたがいに手続きがとれるような保証関係がないとして、中国の裁判所の判決について強制執行ができないとした判決もあります。
また、手間や費用の面も考える必要があります。
外国裁判所での手続のほか日本の裁判所での手続きが必要となり二重の手続きが必要となり手間と費用がかかります。
例えば、要件を満たしているか否かを判断するためには判決文を日本語に翻訳するところからはじめなければなりませんが、翻訳するだけでも時間と費用がかかります。
したがって、日本に対象となる財産と管轄権がある場合、訴訟手続を含めて日本で回収手続きをとることが確実であり、また、時間と費用の節約にもつながります。
しかし、同時に外国に管轄権が生じることもあり、どちらで手続きをとるべきか選択しなければなりません。
もしも、財産が日本国外にしかないというのであれば、その国で手続きをとるのが現実的かもしれません。
これに対し日本国内にしか財産がないのであれば、日本国内で手続きをとったほうが現実的です。
その理由は、外国での判決が日本でそのまま債務名義となるわけではないからです。
必要な効力が認められるためには、その海外の裁判所に裁判権がなければなりません。
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弁護士法人M&A総合法律事務所の弁護士においては、多数かつ難易度の高い企業法務案件を取り扱ってきていますので、以下の対応が可能です。
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案件を多く扱っているからこそ依頼が集中し、更に知見を集積することができます。
そのように独自のノウハウを培うことができます。
海外弁護士でないと海外債権回収は困難なのではないか?
一般に海外弁護士の弁護士費用は非常に高く、高額な着手金を要求されることが多くあります。また、海外弁護士といっても、国際業務を手掛ける弁護士は大規模な国際法律事務所に限られてしまいますし、そのような海外弁護士が手掛ける業務はM&Aなどがメインとなります。そのような海外弁護士は、日本の国際債権回収業務など受任してくれません。
この点、M&A総合法律事務所では、当事務所単独で海外債権回収業務を行うとともに、各国の債権回収業務を行っているドメスティックな弁護士ともネットワークを構築し、日本の企業様の海外債権の債権回収業務を行っております。
深夜や休日でも相談をすることができますか?
弁護士法人M&A総合法律事務所では、深夜や休日でも、弁護士が勤務している時間であればお電話いただいてご相談に応じることが可能です。また、弁護士法人M&A総合法律事務所に弁護士が勤務していない時間の場合、下記の問い合わせフォームから連絡をいただければ、翌日早々にでもご連絡をさせて頂きます。
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〒105-6017 東京都港区虎ノ門4丁目3-1 城山トラストタワー17階
代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会25776)
日比谷線神谷町駅で下車します。
虎ノ門方面改札を出ます。
4b出口から地上に出ます。
地上に出たら左折し、ホテルオークラの方に進みます。
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