オペレーティングリースの失敗リスク!投資前に考えるべき損失の影響
オペレーティングリースで失敗リスクを避けるために、忘れてはいけないことがあります。
それは、「投資を検討する前に、損失の影響を考慮すること」です。
オペレーティングリースは、そもそも損失が発生しないように設計されています。
それでも失敗事例が報告されているのを見ると不安になりますよね。
リース対象商品を選ぶ前に、オペレーティングリースで失敗したときの損失が、ビジネスにどのような影響を及ぼすのか確認しておきましょう。
オペレーティングリースの【失敗事例】航空機リースでも安心できない!?
オペレーティングリースの失敗事例には、航空機リースもよく登場します。
リース契約では、損失を出さないように失敗リスクを理解し、慎重な検討が必要です。
ここでは、オペレーティングリースの失敗事例を4つ紹介します。
実際にリース対象商品を選ぶときに、考慮すべき失敗リスクとして確認しておきましょう。
リース会社の経営破綻で損失が発生した失敗事例①
オペレーティングリースを契約した会社が経営破綻し、損失が発生した失敗事例です。
リース契約者は、大手販売会社のオペレーティングリース対象商品に投資しました。
しかし、新型コロナウイルスの影響でリース会社の経営が悪化しました。
そのため資金繰りが悪化し、リース料の支払いが滞ることになりました。
結果、破産申請が行われ、契約したオペレーティングリース対象商品を売却しました。
最終的に回収できたのは投資した金額の51%であり、投資金額の約半分の損失が発生してしまったことになります。
リース会社の経営破綻で損失が発生した失敗事例②
日本のオペレーティングリース会社が、バブル崩壊の影響で経営破綻し、リース契約者に損失が発生して裁判になった失敗事例です。
このオペレーティングリース会社は、当時の総資産で業界2位の大企業であり、他のリース会社を圧倒する契約数を獲得していました。
しかしバブル崩壊の影響で、資金繰りに余裕がなくなった結果、経営破綻し倒産しました。
このリース会社の経営破綻に伴い、損失の発生したオペレーティングリース契約者が続出しました。
その結果、出資していたリース契約者が倒産したオペレーティングリース会社に対して、出資金を返還するよう訴訟を起こす裁判が相次ぎました。
新型コロナウイルスやバブル崩壊など、世の中の予期せぬ変化に備えておくのも、オペレーティングリースで失敗リスクを避けるために必要です。
オペレーティングリースで裁判が起きた失敗事例
オペレーティングリースで実際に起きた裁判の事例です。
ある企業が、オペレーティングリース対象商品を分割払いで買い取りました。
同じ日に、その商品を再び同じリース会社に賃貸する契約を結びました。
企業はそのオペレーティングリース対象商品を会計するときに、少額減価償却資産として取り扱い、購入価格全額を損失として計上しました。
しかし、請求した企業は実際にはリース対象商品を取得していないため、減価償却は認められないという判断が下されました。
オペレーティングリース取引の形式上では商品を賃貸しているように見えて、実際には取得していなかったという部分が、損失計上できなかった失敗の原因です。
出典:国税審判所(平5.12.15 裁決事例集 No.46 156頁)
航空機リースで裁判が起きた失敗事例
航空機リースで実際に起きた裁判の事例です。
リース契約者は組合契約を締結し、任意組合の組合員となりました。
この組合が行った航空機リース事業に基づく所得を不動産所得とし、減価償却費などを損金計上しました。
損益通算のうえ所得税の確定申告を行いましたが、リース契約者が締結したのは組合契約ではなく利益配当契約でした。
そのため得た所得も雑所得であり、損益通算は認められず更正処分が行われました。
リース契約者はこれに対し訴訟を起こしました。
出典:[重要税務判例] 【第54回】「航空機リース事件」~名古屋地判平成16年10月28日(税務訴訟資料254号順号9800)、名古屋高判平成17年10月27日(税務訴訟資料255号順号10180)~
オペレーティングリースの失敗事例を3つ紹介しました。
新型コロナウイルスやバブル崩壊のような予期せぬ事態は、いつ起こるか分かりません。
リース契約をするときは、予想外の損失を避けるための入念な計画をしておきましょう。
オペレーティングリースのメリット3選!節税から航空機リースまで解説
オペレーティングリースには失敗リスクもありますが、魅力的なメリットもあります。
節税効果やリース対象商品の種類が豊富なこと、よく見かける航空機リースについてもメリットを解説します。
オペレーティングリースで失敗せず効果的に活用するために、ぜひ確認しておきましょう。
節税効果が高い
オペレーティングリースの代表的なメリットは、節税効果が高いことです。
リース対象商品によっては減価償却を行いますが、オペレーティングリース料による収益は一定で変わりません。
リース対象商品の減価償却によって発生した損失分は、出資者へ配分されて節税となります。
そのため、収益計算するときに特別損失を大きく計上することができます。
また課税になる利益が大きく減少するため、高い節税効果を得ることができます。
オペレーティングリースで節税になる仕組みを理解することは、失敗リスクを回避するためにとても重要なことです。
リース対象商品の多様性
オペレーティングリースは、コンピュータ、通信機器、輸送設備、産業機械・工作機械、医療設備、商業設備など、あらゆる分野の動産物件が対象となります。
さまざまな業種の企業が、自社のニーズに合わせてリース対象商品を選択できます。
一方で、不動産や建物付属設備、構築物は原則としてリース対象商品にはなりません。
航空機リースのメリット
オペレーティングリースのメリットでは、航空機リースの事例をよく見かけます。
航空機リース料は、年率6〜12%になることが多く、他のリース対象商品と比べて高いリース料が見込めます。
また航空機は、オペレーティングリースの中でも長期にわたって使用可能なリース対象商品であり、機体価値は緩やかに下落する傾向があります。
オペレーティングリース契約期間中の航空機の整備、保守管理などは原則として賃借人の責任と費用負担で行われるため、失敗リスクを回避しやすい点も魅力です。
オペレーティングリースの【節税効果】知っておいたほうがいい利益の出し方
オペレーティングリースで失敗しないために、事前に知っておいたほうがいい利益の出し方について解説します。
日本型オペレーティングリースは、投資面よりも節税効果の方が注目されています。
事業承継を検討している法人代表者の方は、後継者に株式を異動させるときの税金を抑えることで、失敗リスクを避けることができます。
減価償却費と事業利益を相殺できる
オペレーティングリース対象商品は、基本的に減価償却資産となります。
リース契約において、減価償却資産は定められた期間に応じて、一定金額を減価償却費として計上できます。
オペレーティングリースの減価償却費は、定率法で計算することで最も高い償却率を得ることができます。
法人でリース契約する場合、事業利益が発生する事業年度にオペレーティングリースを開始すると、利益と相殺できる減価償却費が多いため法人税も抑えられます。
オペレーティングリースで失敗リスクを避けるためにとても重要な方法なので、ぜひ覚えておきましょう。
会社の株価が下がると事業承継できる
法人代表者が後継者に株式を渡す場合、生前贈与であれば贈与税、相続発生時なら相続税の対象になります。
非上場会社の株価は基本的に会社の資産価値で決まり、会社の経営状態が悪くなると株価も下がります。
オペレーティングリースは、リース契約満了時に出資金を回収できますが、出資した当初は一時的に赤字となり会社の資産価値は下がります。
会社の資産価値が下がると贈与税や相続税の株式評価額も減少するので、その期間に事業承継することで節税でき、失敗リスクを回避することができます。
リース資産の売却益は退職金に活用できる
オペレーティングリースは、リース契約満了時に資産売却による分配金を受け取ります。
リース対象商品の売却による収入は大きいため、売却時の利益の税金対策が必要です。
事業承継の一環でオペレーティングリースを利用した場合、リース対象商品の売却益を法人代表者の退職金などに充てることで利益を相殺できます。
オペレーティングリースの節税効果を3つ紹介しましたが、どれも失敗リスクを避けるためにとても重要なことなので、ぜひ覚えておきましょう。
【オペレーティングリースで失敗しない方法】損失を出さない方法
オペレーティングリースで失敗しないためには、慎重な計画と適切な戦略が不可欠です。
節税の効果が大きい反面、失敗すると赤字になり続ける恐れもあります。
ここでは、オペレーティングリースで失敗を回避するリスク対策のポイントを3つ解説します。
リース先は慎重に選ぶ
オペレーティングリース対象商品の中には、元本割れの保証がないものがあります。
たとえば資金を一括で投入する航空機リースは、元本割れの保証がないため元本を回収できずに失敗する可能性があります。
オペレーティングリース対象商品を選ぶときは、上場企業など大手の会社を選ぶと安心です。
航空機リースで契約案件を選ぶときは、失敗しないためにどの航空会社なのかも慎重に確認しておきましょう。
計画的に出資額を決める
リース契約期間中にいざ資金が必要になったとき、長期のリース契約は中途解約が困難なため失敗する恐れがあります。
オペレーティングリースへの出資額は無理のない範囲で設定し、リース契約時からしっかりと計画しておきましょう。
計画的な出資額の投資により、オペレーティングリース契約期間中の財務的な安定性と効率性を確保し、失敗リスクを回避できます。
減価償却効果を上げる
オペレーティングリースでは税務当局の規制によって、リース契約での出資額以上の減価償却費を得ることができません。
そのためリース対象商品で節税効果を高めるには、多額の出資で減価償却費を上げる必要があります。
しかし、オペレーティングリース対象商品によっては銀行から借り入れができない場合もあるため、余剰キャッシュが必要不可欠となります。
オペレーティングリースで失敗しない方法を3つ紹介しました。
失敗リスクを避けるだけでなく、高い節税効果を得るためにも重要な項目なのでぜひ覚えておきましょう。
まとめ
オペレーティングリースは節税商品ですので損失が発生することなどあってはならないことです。
オペレーティングリースで損失が発生してしまった場合は、弁護士法人M&A総合法律事務所にご依頼ください。