裁判手続き(民事裁判手続き)の流れ及び裁判にかかる期間・訴訟費用!

皆さんの多くは「裁判」という言葉に対して、刑事ドラマに登場する法廷のような印象を持っているのではないでしょうか。裁判という言葉に対して「未知のもの」という印象も持っているかもしれません。

日常的に裁判を経験している人は、法律の仕事をしている人以外は少ないはずです。自分が裁判手続きをすることになって、ドラマのワンシーンのような想像をして不安になるかもしれません。しかし、実際の裁判(民事裁判)はドラマのワンシーンで登場する法廷とはかなり違っています。

今回の記事では、民事裁判についてわかりやすく説明します。

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裁判手続き(民事裁判手続き)の流れ及び裁判にかかる期間・訴訟費用!

・民事裁判とは

・民事裁判の流れとは

・民事裁判にかかる期間

・民事裁判にかかる費用

民事裁判についてよく聞かれる4つのポイントを弁護士が徹底解説します。民事裁判を検討している人は参考にしていただければと思います。

民事裁判とは?

裁判には大きくわけて「民事裁判」と「刑事裁判」があります。皆さんが刑事物のドラマなどでよく目にするタイプの裁判は刑事裁判ではないでしょうか。民事裁判の流れを説明する前に、民事裁判と刑事裁判の違いを簡単に説明します。

民事裁判と刑事裁判は当事者や流れなど違っている部分が非常に多いのですが、中でも特に違っているのが「裁判の中で扱う事件」です。

刑事裁判は刑法などの法律に反した事件(窃盗、殺人、強盗など)を扱いますが、民事裁判は当事者間の権利義務に関するトラブルを扱います。権利義務に関するトラブルとは、借金トラブルや相続トラブル、契約トラブル、不動産トラブルなどです。

刑事裁判の主に犯罪を裁く場ですが、民事裁判は違います。民事裁判は、利害関係者や権利義務に関してのトラブルについて解決をはかる場なのです。ですから、民事裁判について刑事物のドラマの法廷なような想像をしていると、場の雰囲気や進め方、裁判の中身の違いに驚いてしまうのではないでしょうか。

民事裁判の流れとは

民事裁判とは何か簡単に触れたところで、次に民事裁判の流れについてお話しします。

民事裁判の基本的な流れは次の通りです。

1.民事裁判の訴えの提起

2.第1回口頭弁論期日

3.続行期日

4.証拠調期日

5.証拠調期日以降

6.判決

民事裁判の流れ①民事裁判の訴えの提起

民事裁判は原告が訴えの提起をすることによってスタートします。

民事裁判でも「原告」「被告」という言葉が使われますが、民事裁判の場合は「訴えた側」が原告になり、訴えられた側が「被告」になるのです。

民事裁判で「被告」と使われると、自分が犯罪の疑いで裁かれるのではないかと不安を覚える人も多いようです。刑事ドラマの「被告人」という呼び方を連想するからでしょう。被告と使われても、刑事裁判の被告人とは異なります。

民事裁判のスタート地点は訴えの提起。ここから民事裁判の手続きが進んで行きます。

民事裁判の流れ②第1回口頭弁論期日

民事裁判の提起が行われると、日時を決めて「第1回口頭弁論」が開かれます。

第1回口頭弁論とは、1回目の民事裁判のことです。民事裁判は原告と被告が何度か裁判に足を運び、しかる後に判決を受け取るかたちになります。何度か足を運ぶうちの初回がこの第1回口頭弁論だということです。

第1回口頭弁論は特別な事情がない限り、訴えが提起された日から30日以内に開かれます。

第1回口頭弁論では、原告が訴状を陳述します。「このような理由で訴えました」と裁判の席上で説明するような印象です。

ただ、実際に訴状を読み上げるわけではなく、「陳述します」の一言で終了するケースが多くなっています。訴状に書いてあるわけですから「詳しくは読んでください」ということです。「陳述します」の一言で、手続き的には特に問題ありません。

被告は訴状に対して、準備してきた答弁書を陳述します。要するに、訴状に対して被告側の言い分を述べているわけです。

なお、第1回口頭弁論期日には、「陳述擬制」というルールがあります。被告が欠席しても陳述したものとして扱う(擬制する)ため、第1回口頭弁論期日では被告が欠席することもあるのです。

第1回口頭弁論期日では、次の期日が指定されます。期日ごとに原告と被告の主張と反論を繰り返し、最終的に裁判官が判決というかたちでジャッジして裁判が終了する流れです。次の期日については、大よそ1か月先の日付が目安になります(裁判所の混雑状況にもよります)。

民事裁判の流れ③続行期日

続行期日にはふたつのタイプがあります。

・口頭弁論期日

・弁論準備手続期日

口頭弁論期日とは、公開の法廷で行う期日になります。対して弁論準備手続期日は、弁論準備室という非公開の場で行われる期日です。

裁判官の都合によりどちらを指定されるかが変わります。どちらの期日を使う場合でも、原告と被告の主張をやり取りし、少しずつ争点の整理をすることに変わりはありません。

何度か続行期日を繰り返して「原告と被告の争いの要点は何か」「裁判所が認定すべき事実は何か」「証人尋問や当事者尋問を必要とする事実は何か」などを整理することになります。

続行期日は何度か行うことが基本です。

民事裁判の流れ④証拠調期日

証人尋問をする期日のことを証拠調期日といいます。

続行期日を繰り返して原告と被告の主張や争点の整理を行ったら、次に証拠調期日を行うのが基本的な流れです。期日の中で整理した争点について、今度は証拠(証人や当事者)での立証や確認を行うことになります。

民事裁判を提起して双方の主張や争点の整理をして、「では証拠を見てみよう。聞いてみよう」という流れだと解釈すればわかりやすいはずです。

争点も整理されていない段階で証拠調(証人尋問など)をしてしまうと、「やはり争点が違っていたからまた来てください」という話になってしまうことが多く、証人などに迷惑をかけてしまうため、この流れで行われています。

当事者や証人の尋問を希望する場合は、その旨を「証拠申出書」で申し出る必要があります。証人尋問でよく勘違いされるのは、証人尋問を希望すれば必ず裁判所側は承諾してくれるという点です。

証人尋問を申請しても裁判所側が不要だと判断すれば、証人尋問は行われません。裁判所に申出書の内容で「いいですよ。やりましょう」と承諾されてはじめて証人尋問が可能なのです。

証拠調期日では、裁判所側が「やっていいですよ」と承諾した証人の尋問を行います。尋問は主尋問と反対尋問を行い、裁判所が必要だと判断すれば補充尋問なども行います。

民事裁判の流れ⑤証拠調期日以降

証拠調期日(証人尋問)が終了したら、ふたつのパターンが考えられます。

・弁論の終結

・最終準備書面の準備と提出

証拠調期日を終わった段階で「情報はすべて出そろった」として弁論を終結させ、判決に移る流れがひとつのパターンです。もうひとつは、最終準備書面を準備して提出させるパターンになります。証拠調期日を終えた上での主張を最終準備書面にまとめて提出、しかる後に弁論が終結するパターンです。

基本的にこの後は判決に進みますが、判決前に裁判所側から原告と被告に和解を打診されることもあります。和解で注意したいのは、内容から読み取れる裁判所側のスタンスです。

和解を検討するためにも、もちろん和解の内容も重要になります。しかし、最終的に判決を求めるにしても、和解内容から裁判所の判決の方向性が読み取れることが少なくないため、内容を注視する必要があるのです。

和解内容が原告側に有利な内容であれば、裁判所は原告側に有利な判決を出す傾向にあります。主張や証拠を確認した上で、心証が原告側に傾いているということです。反対に被告側に有利な和解内容の場合は、被告側に心証が傾いているということになります。このように、和解内容で裁判所のスタンスを読み取れるのです。

和解を断って判決をもらうとしても、裁判所のスタンスは基本的に変わりません。和解の時点でよく考える必要があります。

民事裁判の流れ⑥判決

和解しなかった。あるいは和解の提示がなかったなど、ここまでの流れを一通りこなすと、最終的に民事裁判の判決となります。判決の内容を踏まえ、次の行動を弁護士などと相談の上で決めることになるのです。

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民事裁判にかかる期間

民事裁判の提起から判決が出るまでどのくらいの期間を要するのでしょうか。民事裁判を検討している人にとって、判決が出るまでの期間的な目安は重要事です。

民事裁判の提起から判決までの期間的な目安は1年ほどになります。訴状の提出から第1回口頭弁論期日までの期間が大よそ1カ月。以降、1カ月くらいの期間を空けて続行期日があります。

何度か続行期日を繰り返して証拠調期日ですが、証人尋問まで大体2カ月必要です。さらに、最終準備書面の準備と提出、判決がありますので、基本的な流れを一通りこなすためには1年程度の期間が必要になります。裁判所が込み合っていたり、複雑なトラブルであったりすると、さらに判決までの時間を要することも少なくありません。

なお、当事者間に争いのない民事訴訟や証人尋問の必要がない民事訴訟などの場合は、3カ月から半年ほどで判決になることもあります。これは期間的にかなり短いケースです。

民事裁判にかかる費用

民事裁判をするためには次のような費用が必要になります。

・弁護士費用

・裁判所での手続き費用

弁護士費用とは、民事裁判を担当する弁護士に支払う費用になります。費用は相談費用や着手金、日当、実費(交通費など)、成功報酬などがあります。弁護士や案件によって費用が異なりますので、弁護士に相談するときに費用目安などを確認しておくといいでしょう。

民事裁判をするためには、裁判所に手続き費用を支払う必要があります。裁判所利用の手数料のようなものです。裁判所にかかる費用は裁判の目的の額によって変わってきます。こちらについても、弁護士に確認を取ることをおすすめします。

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最後に

裁判という言葉からドラマなどでよく取り上げられる刑事裁判を想像しがちかもしれません。民事裁判は刑事裁判と異なり、権利義務や利害の衝突を解決するための裁判になります。

民事裁判の流れとしては、裁判の提起にスタートし、期日を経て最終的に判決という流れです。提起から判決までの期間的な目安は1年強から1年半弱ほどになります。

費用や期間については、トラブルの内容によっても異なります。弁護士への相談時に確認しておくといいでしょう。

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    ABOUT US
    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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