売掛金を回収する最大のポイントは、日ごろから支払日を1日でも過ぎれば請求を行い、相手方に対し厳しい態度で臨むことです。
売掛金回収にはポイントがあります
売掛金を回収する最大のポイントは、日ごろから支払日を1日でも過ぎれば請求を行い、相手方に対し厳しい態度で臨むことです。
「あの会社は厳しいからきちんと対応しなければ大変だ!」と相手方に思わせておくことが大切です。
少しくらい待ってくれるところだからと相手方が思ってしまえば、いざ支払いに困窮した際に後回しにされてしまうということは容易に想像がつきます。あの会社は支払いについては非常に厳しく管理をしているという意識を持たせることが、売掛金を回収する上で非常に重要なポイントなのです。
国会において民法の改正案が提出されており、可決されれば短期消滅時効は廃止されますが、現在の民法では商品等の売掛債権は「2年」の短期消滅時効にかかるので、時効との関係で適切な措置を採ることが重要ですから、弁護士に早めに相談されることをお勧めいたします。
もちろん、相手方の資金繰りが悪化し、請求をしても支払いをしてこないケースもあります。その場合には任意の支払いは期待できないので、交渉をせずに仮差押などで相手方の財産を確保し、訴訟を提起するということを検討する必要があります。
他方で、相手方にまったく資産がないケースもあり、この場合には回収が実質的にできないので、費用がかかるのに対して、効果を得られないという可能性もあります。
さらに、相手方が倒産した場合についてですが、売掛債権の回収は困難であるといえます。
他方で、商品の引上げや動産売買の先取特権を行使するという選択肢もあります。
商品の引上げについては、納入先に無断で持ち出した場合には建造物侵入罪や窃盗罪に問われる可能性がありますので、弁護士に相談の上、相手方の同意を得て手続きをするべきこととなります。
動産売買の先取特権とは、動産の売主が、売買代金債権について当該動産を目的物として有する法定担保物権であり、破産法や民事再生法上、「別除権」として扱われるため、動産競売手続(管財人または再生債務者が目的物を保有する場合)や転売代金債権等に対する物上代位(転売等により目的物が第三者に引き渡された場合)により債権回収が可能ですので、動産の売主の場合は、先取特権の行使が可能かについて、早めに弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
また、相手方があえて支払いをしてこない場合には、交渉を行うことになりますが、法的措置を採ることを考えて、書面で通知をするなどして証拠を残しておくことが重要です。
法的措置をせざるを得なくなってから弁護士に依頼をされることが多いと思われますが、可能であれば早期に弁護士に相談し、早い段階で適切な対応をすることが望ましいと考えられます。
すなわち、売掛金回収について、どのような手法を採用すべきか、その場合、どのようなメリットが生ずるか、どのようなデメリットが生ずるかについては、これらの諸般の事情を考慮し、検討してゆくことが必要です。